犬にお酒は大丈夫?

今回は犬にアルコールは大丈夫か?というお話と、お電話での問い合わせに関する話題です。

先日、急患のお電話がありました。『犬がグラスに1杯のワインを飲んで倒れた!』とお父さんは少々パニック気味のご様子です。他県からご旅行で伊勢に来られて、夜にゆっくりお酒を愉しんでいたらこぼしたワインを柴犬が飲んじゃったとのことです。

こんな時、僕たち獣医師は一番悪い状況を想定します。この場合であれば大きめのワイングラスにアルコール度の高いワイン、そして体格の小さな柴犬、と言った具合です。

話を聞きながら頭の中で大雑把に計算してみます。体重10kgの柴犬がアルコール度数15%のワイン200mlを飲んでしまったと考えると、アルコール量は30グラムくらいでしょうか。犬の体重1kgに対して約3グラムのアルコール摂取ということになります。

さて、犬のアルコール中毒量は体重1kgあたり5g程度と言われています。つまり体重10kgの犬であれば、アルコールとして50gを摂取するとアルコール中毒を起こして死亡する可能性が高くなるということです。今回のケースでは死亡する可能性は低いものの、中毒になる可能性がある、やや心配な量ということになります。

まずは飼い主さんに落ち着いてもらい、詳しい情報を伝えてもらう必要があります。電話してきたのはお父さんですが、犬がワインを飲んだ現場にいたのはお母さんとのことなので、もう一度摂取量や犬の体重、飲んだ時刻などを教えてもらいました。そしたらなんと、実際には床にこぼれたワインを3回くらい、ペロペロ舐めただけだということが判明しました。

お父さんのお話では犬は倒れて昏睡状態とのことでしたが、ペロリ×3回くらいのアルコールで中毒することはないと思いますので、”犬に話しかけて起こしてもらってみてもいいですか?”と聞いてみたところ、起き上がって普通に歩いており、普段の状態と変わりません、とのことです・・。よかったよかった。

ついでに調べてみると、ヒトのアルコールでの急性致死量は成人で 体重1kgあたり5~8 gだそうです。中毒する量は犬とヒトでそう大きくは変わらないようですが、小型犬の体重がヒトの10分の1程度だと考えると、アルコールは少量でも危険と認識しておいた方が良いでしょう。なので世のお父さん方、晩酌中に犬がおつまみを欲しがっても、お酒は与えないようにお願い致します。

そして今回は無事に一件落着となりましたが、中毒に関する診察は、摂取してからの速さと正確性が非常に大事ですので、まずは落ち着いて、とにかく冷静になって、起こった事実を客観的にお伝え頂けることが正しい判断につながります。因みに当院のララちゃんは、僕がお酒を飲んでいるとおつまみの匂いに誘われて近寄ってきますが、お酒のにおいは大嫌いなのでおつまみに近寄れず、地団駄ふんでいます。

 

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