アカミミガメ

先日、宮川の河口で流されている子亀を見つけました。
その日は大潮で、川から海に向かってかなり強い流れがありましたが、その中を5cm程の小さな亀が流されています。泳ぐ力がなく、ほとんど動かずくるくる回りながら流れていくので仕方なく腰まで海に入って拾い上げてきました。ミシシッピアカミミガメ、一般的にはミドリガメと呼ばれる種類のカメですね。なかなか可愛い顔をしています。

宮川のほとり動物病院,かめ,

今は手のひらサイズですが40年近く生きるご長寿で、甲羅が最大で28cmくらいの大きさまで育ちます。アメリカ原産のカメで水草・果実・カエル・魚・ヘビ・鳥・昆虫・貝など何でも食べます。そのため日本各地の池やお堀でハスなどの水生植物が食害に遭うほか、日本原産のニホンシガメの生息域を脅かしたり、栽培されているレンコンやジュンサイ、ヒシの食害が報告されていて、最近では何かと悪者扱いされています。僕が拾ったこの子亀はしばらく休ませて観察してみましたが、体力を回復したようなので池に返したところ元気に泳いでいきました。

僕が幼かった頃は夜店やペットショップでアカミミガメを良く見かけました。1990年代半ばには輸入量が年間100万匹を超えていたそうで、飼いきれなくなったり逃げだした個体が各地で繁殖し、現在では環境省の『生態系被害防止外来種リスト』の中でも『緊急対策外来種』に位置付けられています。

一時期は環境省が主導でアカミミガメを『特定外来生物』に指定しようという動きがあったようですが、現在では”段階的に検討してゆく”という方向に変わったようです。特定外来生物に指定された場合には、野生のアカミミガメの捕獲・飼育・運搬は禁止になり、現在アカミミガメを飼育中の方も自治体に飼育の申請・許可が必要になるそうです。この指定が見送られた背景には、厳しい規制を行なってしまうと現在飼育されているアカミミガメが捨てられてしまう機会が増えてしまうことや、アカミミガメの保護を頑張っていただいている方々の努力などもあるようです。

皆さんもご存知の通り、アカミミガメが悪者というわけではなく、置かれた環境に何とか適応して生きていこうとしているだけだと思います。このあたりはのら猫とも通じる部分があるように思います。伊勢市内でも沢山見かけるアカミミガメ、このさきどうなってゆくかわかりませんが、個人的には暖かく見守ってあげたいと思います。

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