歯科処置ってどんなことするの?

最近は歯科処置の相談がものすごく多いです。

歯石、口臭、歯周病、顔が腫れた・・等々。できれば歯周病で歯がダメになってしまう前に処置を受けていただくことで、生涯にわたって健康的な歯で生活してもらえるのが一番嬉しいです。ですが現実的には2歳をこえたわんちゃんの80%が歯周病というデータもあり、実際に歯に関する相談でご来院される方々の多くが、進行した重度の歯周病の患者さんです。

歯科処置の内容は個々の患者さんによって違いますが、ごく簡単に言うと
①スケーリング(歯石除去)
②歯周病の進行度合いを評価
③ダメな歯は抜歯、治療が可能な歯は残す
という流れになります。こういった説明はインターネットで検索すると誰でも知ることができる情報だと思います。

今日は『ダメな歯ってどんな歯?』『実際に麻酔下で行われる歯科処置はどんなことしているの?』の疑問にお答えするべく、その一部をご紹介したいと思います。

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処置前の状態です。上顎の第4前臼歯が歯石に覆われて見えなくなっちゃっています。皆さんのお家のわんちゃんは大丈夫ですか?特に臼歯は歯石が付着しやすく、かつ見えにくいですので要注意です。ほっぺをイーッってして確認してあげてくださいね。

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超音波スケーラーで歯石を除去すると歯がみえるようになりました。ですが歯周病によって歯槽骨の破壊と歯肉の後退がひどくて、歯根が露出してしまっているのがよくわかりますよね。まだ歯肉で覆われているように見える部分も、実は深い歯周ポケットになっています。歯石を取って確認すると、すでに歯がグラグラになっているのがわかるようになります。

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この歯は抜歯の必要があります。ぐらぐらしているからといって、引っ張ったら抜けるわけではないんです。この歯は3根歯といって根っこが3本ありますので、3つに分割して、器具をつかって歯槽骨から脱臼させて抜歯します。

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抜歯の跡は大きな穴になってしまいます。このままではダメですので、破壊されてぎざぎざになっている歯槽骨を滑らかに削って、さらに炎症によって形成された不良な肉芽組織を除去する必要があります。上記の写真は歯槽骨を削って不良肉芽を除去した後の画像です。

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最後は口腔粘膜を縫合して処置が完了です。ヒトの親知らずの抜歯と同じですね。もちろんわんちゃんやねこちゃんの場合にも局所麻酔薬による神経ブロックや鎮痛剤の投与を行ないます。『歯を抜くなんてかわいそう』ってたまに言われてしまいますが、僕たち獣医師は患者さんの現在と将来のことをちゃんと考えて処置をしていますよ。ずーっと歯の痛みを我慢しながら生活したり、気が付いたら歯周病細菌による心臓病や腎臓病になってしまった、では大変ですので、気になる場合には早めにお近くの動物病院に相談してあげてくださいね。

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