うちの子はどんな健康診断がよいのでしょうか?

健康診断には沢山の項目がありますので、どなたでも希望の検査をうけることができます。
ですが沢山ありすぎても、どの検査を受けたらいいのか分からないですよね。

健康診断はすべての年齢で受けることができますが
その検査の内容は動物の年齢や健康状態などによって選ぶことができますので
一番おすすめなのは来院してから『先生と相談して検査の内容を決める』ことです。

参考のためにケース別にお勧めできる検査内容を挙げておきますので、参考にしてくださいね。

1.ペットショップから来たばかりの仔犬や仔猫
2.捨て猫を保護しました
3.5歳未満のわんちゃんとネコちゃん
4.5歳以上のわんちゃんとネコちゃん
5.10歳以上の高齢のわんちゃんとネコちゃん
6. しっかりご飯は食べるけど
『時々咳をする』『水を飲む量が多い』『おしっこの量や回数が多い』
『お腹が張っている気がする』『時々吐くようになった』等々
少し気になるところがあって “病気じゃないかも知れないけれど” 先生に相談してみたい。

1. ペットショップから来たばかりの仔犬や仔猫

【一般身体検査+便検査】(診察料[初診1000円/再診500円]+便検査500円)

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きちんと管理された環境なので基本的に健康状態に問題はないはずですが新しい家族を迎えるにあたって今後、問題になることがないかを確認する必要があります。
主に先天的な疾患を調べるための身体検査が主体と考えてよいと思います。

聴診で心雑音がないか確認したり、臍ヘルニア(でべそ)や鼠経ヘルニアがないかもチェックします。
トイプードルやポメラニアンなどの小型犬では膝蓋骨脱臼(膝関節の緩み)もよく見られる病気です。
細かな身体検査を受けておくと安心です。

万が一、寄生虫がいないかを調べるために便検査を受けておくことをお勧めします。
寄生虫は症状がないことも多いのですが、同居の動物やヒトにもうつることがあるので
見た目が健康な便であっても最初は検査を受けておきましょう。

初めて病院を受診した際には、分からないことは全部先生に聞いて疑問を解消してくださいね。

・ワクチンの接種はいつ?
・狂犬病ワクチンはどこで受けたらいいのか?
・フィラリア予防の仕方がわからない
・お散歩中のノミやマダニが心配
・仔犬、仔猫フードはいつまで必要?ミルクはいつまで必要?
・爪切りや肛門腺の処置はお家でしたほうがいいですか?

このあたりの質問はよく聞かれます。聞かれなくても説明しちゃうことが多いのですが遠慮なくお尋ねください。

2. 捨て猫を保護しました

【一般身体検査+便検+耳垢検査+ウイルス検査+寄生虫駆除】
(診察料+便検査500円+ウイルス検査4000円+耳垢検査800円+寄生虫駆除1200円~[寄生虫の種類や動物の体重によって変わります])

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捨て猫はすでに事故にあっていたり、外敵に襲われていたりすることがあります。先天的な異常の有無と併せて、怪我や骨格の異常がないかを細かく身体検査します。

また外ネコには寄生虫がみられることが非常に多いので、便検査に加えてノミや耳ダニ(ミミヒゼンダニ)をチェックしておきましょう。特にノミは数が少ないと見つけにくいことがありますので、捨て猫ちゃんを迎え入れる場合には寄生虫の有無にかかわらず最初に駆除を行なっておくことを強くお勧めします。

もう一つ大事な検査がウイルス検査です。具体的にはFIV(猫エイズウイルス)とFeLV(猫白血病ウイルス)の確認です。これらのウイルスの感染は初期には症状のない潜伏感染ですが、発症すると命にかかわる感染症です。採血が必要ですが、院内では10分程度の検査時間でウイルス感染を確認することができます。

外ネコにはヘルペスウイルス感染症(猫伝染性鼻気管炎)やカリシウイルス感染症は普通にみられる感染症ですが、これらはひっくるめて『猫カゼ』と呼ばれます。捨て猫ちゃんを迎え入れた場合には1~2週間は風邪の症状に注意してあげてください。
猫カゼの症状は『くしゃみ・鼻水』『発熱』『下痢や嘔吐』『口内炎や舌潰瘍』など、我々ヒトのカゼとよく似た症状です。放置して重症化すると治療にも時間がかかって大変ですので、カゼの症状がある場合には早めに動物病院を受診してあげてください。

3. 5歳未満のわんちゃんとねこちゃん

【一般身体検査+血液生化学検査+腹部超音波検査】
(診察料+血液生化学検査6000円+腹部超音波検査4000円)

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若いわんちゃんやネコちゃんでは、中~高齢の動物と比べて病気は少ないです。健康診断での基本となる一般身体検査と血液生化学検査が主体と考えてよいと思います。

加えて腹部の超音波検査をおこない、血液検査の数値と超音波検査での画像診断の両面から健康状態が評価ができれば大分安心と言えます。

今後、年齢を重ねた際に問題となりそうな初期の病気を見つけるための広い検査を行なうイメージです。

4. 5歳以上のわんちゃんとねこちゃん

【一般身体検査+血液生化学検査+腹部超音波検査+胸部X線検査】
(診察料+血液生化学検査6000円+腹部超音波検査4000円+胸部レントゲン検査3500円)

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基本的な考え方は5歳未満の動物と同じです。血液検査での数値と超音波検査での画像診断の両面からの検査が基本ですが、高齢の動物では循環器・呼吸器疾患や腫瘍性疾患などが多くなるため、胸部レントゲン検査を追加してお勧めしています。

またお家では普通に生活していても、獣医師の目から見ると甲状腺や副腎のホルモン疾患が疑われる動物や、血液検査や超音波検査、身体検査で気になる結果がでることが多くなる年齢ですので、異常がみられた場合にはさらに詳細な検査をご提案いたします(例えば心雑音が見つかったので心臓の超音波検査を行なったり、気になるしこりが見つかった場合に細胞診をおこなって癌の疑いがないかを確認したりする検査などです)。

5. 10歳以上のわんちゃんとねこちゃん

【一般身体検査+血液生化学検査+腹部超音波検査+胸部X線検査】
(診察料+血液生化学検査6000円+腹部超音波検査4000円+胸部レントゲン検査3500円)

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“5歳以上と同じ項目じゃないの?”と聞かれそうですが、その通りです。高齢の動物に対する健康診断という意味で、検査の内容に大きな違いはありません。違うのは検査を受ける頻度(回数)です。老齢の動物では年に2回の健康診断をお勧めしております。

高齢になると若い頃にくらべて活発ではなくなりますが、同時にはっきりとした症状がなく、なんとなく無気力だったり倦怠感を示す甲状腺ホルモン疾患などの病気も増えてくる年齢です。高齢の動物では『年齢による衰えだと思っていたら実は病気だった』ということも多くなります。万が一、検査で異常が見られた場合には獣医師から必要な検査を追加でご提案致しますのでご安心ください。

6. 元気だけど “ちょっと気になるところがある” 場合

【一般身体検査+血液生化学検査+腹部超音波検査+追加検査】
(診察料+血液生化学検査6000円+腹部超音波検査4000円+追加検査料)

食欲もあって元気なんだけど、『最近咳をするようになった』『水を飲む量が多い気がする』
『おしっこの量や回数が多い』『お腹が張っている気がする』
『前から時々吐く子だったけど、最近それが多くなってきた』のは大丈夫ですか?
と、よく質問されます。

近年ではインターネットやテレビなどでペットの健康に関する情報も多くみられるようになり
ひと昔前に比べて健康診断を希望される飼い主様がとても多くなったと思います。
それでも上記の症状は一見病気かどうか分かりにくいので、これらの症状で動物病院を受診してくださる方はまだまだ少ないように思います。

年齢にもよりますが、基本となる一般身体検査と血液検査、超音波検査を一通りおこなって全体的に異常がないかを確認します。加えて異常があった部分&気になる症状に対する追加検査がオプションとして必要であると考えておくべきでしょう。
症状によっては一度にすべてを検査するのではなく、段階を踏んで様子を見ながら検査を行なうこともあります。詳細は獣医師におたずねください。