腫瘍,癌,細胞,抗がん剤,白血病
ペットにおいても高齢化が進むとともに腫瘍性疾患は多くなっています。そこへ近年の獣医療の向上と、飼い主の皆様の病気への理解が深まったことで腫瘍診療で動物病院を訪れる方が本当に多くなりました。

宮川のほとり動物病院では腫瘍診療にも力を入れております。気になることはお気軽にご相談ください。

以下には腫瘍診療についての疑問をQ&A方式でご説明いたします

  1. Q : ペットの身体に気になる『できもの』を見つけたんだけど、
    大きくならないか
    少し様子を見ても大丈夫?

    おすすめしません。腫瘍の良性・悪性の判断は見た目や大きさではできないからです。
    もちろん悪性度の高い腫瘍ほど大きくなりやすい傾向はありますが
    むしろ悪い腫瘍であるほど、時間がたてば大きくなったり転移をおこしたりすることで
    治療は難しくなります。様子をみても大丈夫なのか?それを判断するために病院があります。
    まずはお気軽にご相談ください。
  2. Q : 診察を受けに行きたい気持ちはあるんだけど、診療費はどのくらい?

    腫瘍の診断・治療は多岐に渡りますし、治療期間も様々ですので一概にはお答えできませんが
    治療費のお話をせずに診察を進めることはありませんのでご安心ください。

    例えば、ペットの身体に『できもの』を見つけたとします。
    最初に行うのは、詳しい問診と身体検査、そして細胞診といってそのできものが
    腫瘍なのかを調べるための簡単な検査からです。
    万が一、ガンを疑うような場合にはさらなる検査のご提案をすることになりますが
    細胞診で最初の判断を行うだけなら数千円程度で診察が可能です。
  3. Q : どんな検査が必要なのか分からないので不安です。

    まずは詳しいお話をうかがうところからです。いつ頃から、どんな症状があるか。
    できものは急に大きくなったのか、等々。まずは問診から始まります。

    その次は身体検査です。実際に動物を触ったり、聴診したりして状態を確認します。
    それから具体的な検査のご提案になりますが、『できもの』を見つけた場合、
    最初に行う検査は細胞診であることが多いと思います。

    【細胞診とは】

    『できもの』に対して、細い針を刺して細胞を採取して確認する検査です。
    使用する針はワクチンなどに使うものと同じく細いものですので
    多少チクっとしますが、ほとんどの動物は何事もなかったかのように受けてくれます。
    細胞診では確定診断を行うことはできませんが、”腫瘍なのか・炎症なのか”・
    ”詳しい検査が必要な悪性度の高そうな腫瘍なのか”など、最初に必要な判断材料を
    提供してくれる大事な検査です。

    細胞診である程度の判断をおこなった後、さらなる検査が必要であればご提案いたします。
    治療前に全身のコンディションを確認したり、転移の有無を確認する必要がある場合には
    超音波検査やレントゲン検査をご提案いたします。

    必要な検査が終わった段階で、今度は治療のお話に進みます。
    治療には内科治療・外科手術・抗がん剤による化学療法・放射線治療・免疫療法など
    色々な方法がありますが、その患者さんに実施可能なものを提示いたします。
    病気の種類と動物の状態、治療にかかる費用、飼い主様の考え方などを総合的に判断し、
    ご説明させて頂き、ご納得していただいてからの治療となりますのでご安心ください。
  4. Q : 腫瘍の治療は手術が必要ですか?

    いいえ。手術は必ずしも必要ではありません。手術で対応するよりも抗がん剤の方が治療効果が
    高い腫瘍もあります。ですがその一方で手術が最も効果的な治療である場合もあります。


    これしか治療法はない、という場合を除いて、どれだけ多くの治療の選択肢を
    飼い主の皆様に提示できるかは、僕たち獣医師の腕の見せ所でもあります。
    可能な選択肢をお伝えした後に、飼い主の皆様のご希望に沿った治療を行うのが
    僕たちの仕事です。
  5. Q : ガンは治らないから治療には意味がない?

    ヒトでも動物でも、医療は常に進歩しています。昔は治らなかった病気が、今なら治療できる
    ことも多くなりました。今後もそうでしょう。その反面、残念ながらいまだに治せない
    ガンが沢山あることも事実です。


    ではどうしてガンの治療があるのでしょうか。もちろん治る病気のゴールは病気を治すことです。
    治らない病気では、『必ずしも治すことが治療のゴールではない』ということなんです。
    栄養的なサポートの治療、苦痛を和らげるための治療、そして治らない病気だけれど
    飼い主様との今を大事に過ごしてもらうための治療。

    動物の寿命はヒトに比べると随分短いです。犬や猫の1年はヒトの5~7年に相当します。
    その1年にどれだけ意味を持てるかは、飼い主の皆様の考え方かも知れません。
    たとえ何もしなければ余命3ヶ月の動物が、治療をすれば1年間、ご家族と元気に暮らせる
    としたら。人生の長さと比べれば短い時間ですが、ご家族の皆様がそこに大切なものを
    感じてくれるなら。僕たちは全力でサポート致します。
  6. Q : 抗がん剤は苦しいんでしょう?。苦しい思いはさせたくないんです。

    たしかに抗がん剤の治療には副作用があります。ですが治療の目的を見失わないでください。
    病気で苦しんでいる動物を元気にする、それができない場合には苦痛を取り除くのが目的です。

    抗がん剤で苦しい副作用が出てしまうのは、お薬に対して敏感な少数の患者さんだけです。
    多く患者さんは副作用で悩むことは少ないでしょう。むしろ抗がん剤に対して過剰に副作用が
    出てしまう動物には、継続したくても治療を中断するという苦渋の選択が必要なこともあります。

    抗がん剤や腫瘍の治療は一度始めたら中断できないような融通の利かないものではありません。

    その都度、獣医師と治療方針を話し合いながら進めていくのが腫瘍診療です。
  7. Q : 実はずっと以前にできものがあるのはわかっていたけど、様子を見ているうちに
    大きくなってしまいました。今から病院に行ったら先生に怒られそう・・。

    いいえ。動物病院で怒られることはなんてありません。むしろ病院に行きにくかった理由があれば
    率直にご相談頂いた方が、我々病院スタッフも勉強になります。
    様子を見ているうちに大きくなってしまったというのは、実は比較的よくある相談の一つです。
    不安な気持ちがだんだん大きくなって、やっと病院へ足を運んでくださったわけですから、
    是非とも今後の治療を話し合って不安を解消してくださいね。