ご存知の方も多いフィラリア予防に関してですが、
初めて犬を家族に迎える方々のご参考になればと説明のページを作りました。
フィラリア症はかかってしまえば恐ろしい病気ですが、きちんと予防できる病気です。

フィラリア症の感染の仕組み

フィラリアを媒介するのは『蚊』です。どこにでもいる血を吸うやつですね。
蚊はヒトだけでなく、ペットも吸血します。

蚊がフィラリアに感染している犬を吸血すると、血液中の子虫(ミクロフィラリア)を
同時に吸い上げ、ミクロフィラリアを保有した蚊になります。

同じ蚊が、今度は別の犬を吸血したときに蚊の唾液と共に体内にミクロフィラリアが侵入します。
この時点では皮膚の下にフィラリアの幼虫が存在するだけで、一切の症状はありません。
フィラリアの幼虫は皮膚の下に約2か月間、存在します。

その後、血管に侵入して心臓(肺動脈)へ到達して成虫になります。
フィラリアが心臓へ到達するまでには6か月かかります。

フィラリアの成虫は15~30㎝くらいの細長いそうめんのような外観をしています。
実際にフィラリア症としての症状がでるのは大分先(場合によっては数年先)です。
心臓や血管が限界になったところでようやく症状がでるような病気ですので、
発症してからでは手遅れになります。

フィラリア症の予防の仕組み

フィラリアの予防薬は月に1度です。

『月に一度の予防薬は何をしてくれるのか?』

月に1度投薬された予防薬は1か月間ずっと効いているわけではありません。
実は予防薬としての効果は飲んだその時だけ。
ですがフィラリアの幼虫は皮膚の下に約2か月間存在します。
予防薬は皮膚の下にいるフィラリアの幼虫を月に1度、全滅させるためのお薬です。
フィラリアの幼虫が血管や心臓に侵入してしまうと、予防薬では退治することができません。

こういった理由から
ファラリア予防の開始は『蚊が出始めてから1か月以内に開始する』
予防の終わりは『蚊がいなくなってから1か月後に終了する』
が大事なのです。
なので夏のあいだきちんと予防していても、最後の投薬時期を間違えただけで
その年の予防がムダになってしまう、ということが起こってしまいます。

上記の理由から、当院では5月から12月までの投薬を推奨しています。

フィラリア予防・投薬期間

フィラリアの予防薬について

当院では様々な剤型の予防薬をご用意しています。どの剤型のお薬でもきちんと予防ができますので
投薬しやすい剤型を選んであげてくださいね。

フィラリア予防薬,イベルメックDSP,チュアブル フィラリア予防,ネクスガードスペクトラ
チュアブルタイプ

お肉タイプのお薬です。美味しく予防ができますので、おやつ大好きなワンちゃんにおすすめです。
右のネクスガードスペクトラはフィラリア予防・ノミ予防・マダニ予防がこれ一つでできる
非常に便利なお薬です。小さくて食べやすいチュアブルで当院おすすめの予防薬です。

フィラリア予防薬,ミルベマイシン,錠剤
錠剤タイプ

通常の錠剤です。おやつの好き嫌いがありチュアブルは食べたくない
というワンちゃんにおすすめしています。
錠剤をご飯に混ぜたり、好きなおやつにくるんで与えることもできます。

フィラリア予防薬,レボリューション,スポット薬
スポットタイプ

口からお薬を飲むのが苦手な場合には、首の後ろの皮膚に滴下して使うタイプのお薬もあります。
ネコちゃんのフィラリア予防にもスポットタイプを使用していただいております。

フィラリアの検査について

例えば昨年のフィラリア予防を忘れてしまったり、見ていないところでワンちゃんが
お薬を吐き出したりしていて、知らない間にフィラリアに感染していたとします。
そうするとわんちゃんの心臓にはフィラリアの成虫がいて、血液の中には
ミクロフィラリアが無数にいるかも知れません。

この状態でフィラリアの予防薬を開始すると、血管内の無数のミクロフィラリアが
死滅して、肺や腎臓の毛細血管に目詰まりして、命にかかわる重大な臓器不全を
おこすことがあります。

そのため、その年の最初のフィラリア予防薬を開始する場合には、必ず
フィラリアの検査を行い、感染している状態で予防を行うリスクを排除します。
(仔犬でフィラリア予防を開始する場合には検査が不要なことがありますのでご相談ください)

フィラリアの検査は血液が1滴あれば、10分程度で感染の有無を判定できます。

フィラリア検査キット

フィラリア予防 Q&A

Q1 : 室内にいるから予防は必要ありませんよね?。蚊取り線香もつかっているし・・。

答えは『NO』です。室内にいても防虫グッズを使っていてもペットが蚊に刺されるのを完全に
防ぐことはできません。そのような曖昧な予防法に頼るのはリスクが高すぎます。

Q2 : ずっと予防してないけど、フィラリアにかかったことがない。

たまたまです。何年も予防してないけど大丈夫だったという話をごくまれに聞きますが、
蚊の行動範囲は意外に狭いもので、周囲の方がみんなきちんと予防してくださっていたために
たまたまフィラリアを保有した蚊がいなかったと考えた方が賢明です。このラッキーを機に
予防を開始しましょう。

Q3 : 先月の投薬を忘れてた!。今月はどうすればいいのでしょうか?

例え1か月、投薬を忘れてしまったとしてもその時点からすぐに投薬を開始してあげてください。
万が一、感染していないかどうかは、翌年の予防を開始するときのファラリア検査で確認します。

Q4 : 昨年の薬が余っているのですが、与えちゃダメですか?

条件付きでOKです。
予防薬の使用期限は長いのでお薬そのものは使用しても大丈夫ですが、余っているということは
昨年の予防が中途半端になっている証拠ですよね。万が一フィラリアに感染していると
大変ですので、まずは動物病院で検査を受けてから投薬してあげてください。