当院では健康診断を推奨しています

人もペットも高齢化の時代と言われています。高齢になると体のトラブルが多くなるのは人と同じですね。『最近ちょっと調子が悪い』とは口に出せないわワンちゃんやネコちゃんのために当院では定期的な健康診断を推奨しています。

健康診断の目的は、万が一病気があれば早期発見することです。
ですがもう一つ大事なことは

家族の一員であるペットの健康状態を把握し、問題がないことを確認して安心できる

ことにあります。健康診断では、結果に問題がないことが一番よい結果です。
病気が見つからなかったとしても、そこには大きな意味があります。

健康診断の受診は
5歳以上:年に1回
10歳以上:年に2回
をお勧めしております。

犬や猫の健康診断では何をするのでしょうか

『先生、うちの子は健康に問題ありませんか?』
この質問はワクチンや爪切りなど、病気ではない診察の途中で本当によく聞かれます。

優れた技術を持った獣医師でも、動物を見ただけで隠れた病気を見つけることはできません。
自身を健康管理できる人間でも、自分では分からないからこそ健康診断に行くのですから。

うちの子は健康に問題ないかな?と思った時が健康診断を受ける良い機会です。
ペットを健康診断に連れていけるのは飼い主さんだけなのです。

ペットの健康診断も沢山のメニューが用意されています。ご希望の検査を受けることもできますし、我が子にあった健康診断メニューを先生と相談してきめることもできます。

問診・視診・聴診・触診・体重測定  初診料・再診料に含まれます

これらのメニューはほぼすべての診察の際におこなっています。

【問診】
『元気や食欲は普段通りありますか?』『おしっこやウンチに変わりないですか?』など、お家での状態を聞かせていただきます。普段と違ったところがないか、おしっこの回数や色、匂いなどに変化はないか、ウンチの回数や固さに変化はないか、教えてくださいね。

【視診】
身体を全体的に観察して異常がないか確認します。『痩せすぎ、太りすぎてないか・毛並みは健康であるか』だけでなく、周囲への反応はしっかりしているか、顔つきに問題はないかなど、観察のポイントは沢山あります。例えば中~老犬で毛並みが悪く、全体的に反応が鈍くて沈んだ顔つきから甲状腺ホルモンの病気が疑われることもあるんです。

【聴診】
呼吸音や心音に問題がないか、特に心雑音の有無を確認します。高齢の小型犬では心雑音が聴取されることが多くなります。心臓の病気は初期には症状がでないため、この段階で病気を見極めておくことが大切です。心雑音が見つかった場合には心臓の超音波検査や胸部レントゲン検査をお勧めすることになります。

【触診】
体表のリンパ節に問題はないか、骨格や筋肉量に異常はないか、関節の腫れはないか、そして腹部の触診ではしこりや痛みがないかなどを観察します。
リンパ節の腫れやしこり等が見つかった場合には、詳しい画像診断や細胞診へ進みます。これらの身体検査は健康診断の入り口としてとても大切なメニューです。

血液検査  6000円~(項目数によって変わります)

【完全血球計算(CBC)】
白血球や赤血球、血小板の数に異常がないかを確認します。貧血の確認もこの検査で行ないます。
また白血球を詳細に観察するために、塗抹標本を作製して顕微鏡で白血球を分類します。

【生化学検査・電解質測定】
肝臓や腎臓の異常を確認したり、血糖値、カルシウムやナトリウム、カリウムといった電解質の測定をおこないます。
その他にも犬CRP測定では炎症の有無や程度を確認することができます。

【ホルモン測定】
ちょっと特殊な血液検査です。若い犬や猫には珍しいことですが、中年~老齢になるとホルモン疾患が多くなります。
猫では甲状腺機能亢進症、犬では甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症が代表的なホルモン疾患です。ホルモン疾患がある場合には元気や食欲、そして身体検査や血液検査での異常を伴うことが多いため、上記の検査で甲状腺や副腎のホルモン疾患が疑われる患者さんに対して実施されることが多い検査項目です。

レントゲン検査  1部位2方向撮影 3500円~

これは主に胸部レントゲン検査を指します。単独で実施されることもありますが、例えば『聴診で心雑音がある』『リンパ節の腫れやしこり等があり腫瘍性疾患が疑われる』『呼吸器の異常が疑われる』といった胸部病変・疾患が疑われる患者さんに対しておこなうことの多い検査です。
その他にも関節や骨格の異常が疑われる場合や、腹部超音波検査で異常が見られた際の追加検査としても実施されることがあります。

超音波検査(エコー検査)  各4000円

超音波検査は心臓の機能や血液の流れ・逆流を確認する心エコー検査と、腹部臓器の画像診断をおこなう腹部超音波検査があります。

【心臓の超音波検査】
そのほとんどは心臓の疾患が疑われる患者さんに対して確定診断のためにおこなうか、すでに心臓の病気が診断されている患者さんに対して心臓の状態を確認するための定期検査として実施します。超音波検査は痛い検査ではありません。被毛を少し濡らして検査用のゼリーを塗ったり、毛質によってはプローブを当てる部分を小さくバリカンで毛刈りすることがあります。心臓の超音波検査では房室弁の異常や逆流の程度、心拡大の有無などを調べて心機能を評価します。

【腹部超音波検査】
血液検査と並んで、非常に情報量の多い検査です。肝臓、脾臓、腎臓、副腎、膀胱、前立腺(雄)、卵巣と子宮(雌)、すい臓、十二指腸、胆嚢と胆管、そして各所に存在するリンパ節に大きさや形態の異常がないかを確認することができます。臓器の腫れやしこりなどは血液検査で異常値を伴わないことも多いため、血液検査で異常がなくても画像診断することには大きな意味があります。
万一腫瘍を疑うしこりが見つかったり、リンパ節の腫れが見つかった場合には、より詳細な追加検査として超音波ガイド下で腹部臓器やリンパ節の細胞診をおこなうこともあります。

尿検査・便検査  それぞれ800円・500円

尿検査では主に尿石の有無や膀胱炎の確認を、便検査では寄生虫の有無や細菌叢の確認をおこないます。
スムーズな検査のためには事前にお家で採尿が必要です。採尿のための器具はご来院いただければいつでもお渡し致しますので、遠慮なくお尋ねください。
便は診察室でも採便できますが、持参していただく方が検査の時間が短縮されます。
採尿や採便はできるだけ新しいものをご持参ください。ペットシーツにしみ込んだものや乾燥したものでは検査が実施できないことがあります。