猫の短頭種症候群/鼻孔の狭窄
お久しぶりの更新となりました。
昨年から忙しい日が続いておりましたが、3月になって少し落ち着きました。
皆様は短頭種症候群という病気をご存知でしょうか。
主にシーズー、パグ、フレンチブルドッグといった、いわゆる鼻ペチャの動物に起こる疾患です。鼻孔や鼻腔が生まれつき狭かったり【鼻腔狭窄】、喉の奥にある軟口蓋とよばれる構造が長すぎる【軟口蓋過長症】等が原因でうまく呼吸がしづらい病気です。
軽症の患者さんでは、いびきをかく・興奮時などに狭窄音(ブーブー、ヒューヒュー)が聞かれる程度ですが、重症になると呼吸困難を起こすことがあります。普段から苦しい呼吸をしていても飼い主さんがその呼吸を当たり前だと思ってしまっているケースも多々アリ、と思います。主に犬に見られる病気ですが、今回は猫の患者さんです。
まだ若い猫ちゃんで診察の度に呼吸音が気になっていたのですが、今回は去勢手術で全身麻酔をおこなったので、飼い主さんの了解を得て、同時に鼻孔の拡大手術を実施しました。
手術前の鼻はこんな感じです。因みに通常の猫ちゃんの鼻は
コレです。両者の違いがわかるでしょうか??わずかな違いなのですが、呼吸のしやすさで考えると非常に大きな違いになるのです。鼻孔の一部にメスをいれて、呼吸に伴うストレスを解消することが目的の手術になります。患者さんによっては多少外観の印象が変わることがあるので、これも手術前に飼い主さんに確認してから行ないます。
最初の猫ちゃんの手術直後の写真です。僕自身が幼いときに小児喘息を患っていたので、気道が狭くて呼吸が苦しいことがどれだけ体力を消耗するのか、よくわかります。術後の再診時には飼い主さんからも呼吸が楽になったよって言って頂けました。主に短頭種の犬で問題になる病気ですが、放っておくと声帯が反転して呼吸困難が悪化したり、慢性嘔吐や逆流性食道炎の原因にもなることがあります。
そして特にこれから春・夏に向けて気温と湿度が高くなると、これらの患者さん達には熱中症が非常に多くなります。お家のわんちゃんの呼吸が普段から気になっているような場合には、問題が生じるまえにお近くの病院にかかってあげてくださいね。