猫の交通事故

お正月以来、猫の交通事故患者が続いております。
この季節はノラ猫にとっては厳しい寒さと食糧難が重なる、一年で最も辛い季節になります。猫の交通事故は冬に限らず一年中ありますし、車の運転をされる皆様は事故にあって路傍で亡くなったネコちゃんを見かけたことがあるかと思います。

今回はそんな交通事故にあったネコちゃんを救って頂いた方々のお話。どちらも生後4か月程度の仔猫ちゃんです。

最初の方は運転中に路肩で倒れている仔猫を見つけ、とっさに引き返してそのまま急患として当院へ来院していただきました。診察時間中でしたので、診察待ちの患者さん方がおられましたが、皆さんが”待ってるからこの子を先に診てあげて!”って言って下さいました。

宮川のほとり動物病院,交通事故,猫仔猫は極度に痩せて、意識なく横たわっていました。事故で頭を強く打っており、脳挫傷を起こしていました。入院後は4日間に渡って昏睡状態が続き、最初の2日間はけいれん発作の治療が必要でした。意識が戻ってからもしばらくは動けませんでしたが、その後は驚くほどの回復を見せ、2週間の入院の後に退院することができました。拾って下さった方が、家族として迎え入れてくれることになりました。

まだ少しふらつきが残っていますが、仔猫らしく遊ぶようになり順調に回復しています。スコティッシュフォールドのような耳をした可愛い仔猫ちゃんです。よかったね。このまま幸せになるんだぞ。

 

次のネコちゃんは夜間の急患でした。
前を走っている車が轢いてしまったのを目撃して、当院へ連絡を頂きました。鼻と口から大量に出血して意識朦朧となった仔猫を、ご自分の服と車が汚れることも構わずに来てくださいました。レントゲン検査では顎関節が脱臼し、顎骨も骨折していました。”元気になったら我が家の猫にしますので治療をお願いします”と言ってくださり、入院となりました。

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入院後は疼痛が激しく、麻薬を使用して鎮痛処置をおこなうことでやっと落ち着いてくれました。

数日後には骨折の手術をおこない、今はまだ入院中ですが元気にご飯を食べて駆け回っています。本当はもう少しおとなしくしていて欲しいのですが・・・。ご飯を催促して手術したばかりの顎で入院ケージに噛みつこうとするのだけはやめてください。

 

どちらの仔猫も、その場で連れてきていただけなかったら、確実に命を失っていました。今では順調に回復している仔猫たちですが、僕がなにより驚いたのは、仔猫を連れてきてくださった方々です。お二人とも女性の方だったのですが、ご自分に関係のない、意識がなかったり血だらけだったりした交通事故の猫を拾って動物病院に来られるなんて、強い意志と心がなければ絶対にできないと思います。その決断と行動力のおかげで失われるはずの二つの命が救われました。本当にありがとうございました。

加えて、診察の順番を譲っていただき、待ち時間が長くなってしまった飼い主の皆様、仔猫たちの経過を心配して励ましの言葉をかけてくださった皆様、この場を借りてお礼をお伝えしたいと思います。本当にありがとうございました。

 

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